ディストピアと連帯と

KyotoGraphieはのべ3日にわたって通ったものの、残念ながら、第一展示場である京都新聞ビル印刷工場跡に行くことが出来なかった(それ以外は全て回ったのに)。中心部を上手に回れなかった(枠外でラルティーグやアーウィットを回ってしまった)り、丹波口の展示を優先してしまったからである。しかしそれで良かった理由の一つは、丹波口でギデオン・メンデルの映像を見られたこと。写真も良かったが、いくつものモニターで洪水のシーンが同時に映し出され、それぞれ別々の場所、別の時間なのに、同じような問題に対して同じような作業を行う人々や家族を同時に見ることで、不幸の場所や時間や人の違いは捨象され、われわれ感覚のようなものが浮かび上がってきた。彼のこれまでの作品(ナショナル・ジオグラフィックに掲載されたものなど)からディストピアや環境問題がその主題として論じられるし、実際そうだと思うのだけれども、同時にそれらを引き受けるわれわれ同士の結びつきを撮っているとも思わされた。それがおそらく写真や映像の力なのだろう。あの映像はとても美しかった。もう一度見たい。

Leica CL w/Carl Zeiss Planar 50mm 2.0, AGFA VistaPlus200

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