オンライン授業のこと (1)録音機材のこと①

新型コロナ感染拡大状況に対応するために、2020年度春学期の授業が全てオンライン化されることになった。まさかこんなにあっという間に世界中に感染症が拡がるとはほとんどの人は思っていなくて、誰もがいろいろ準備不足のまま、新学期を迎えることになった。

当然のことながら、オンライン教材作成の訓練を受けていないほとんどの大学教員は、手持ちの材料で対処しなくてはならず、同じようにオンライン授業になれていないであろう(映像を用いる予備校経験者ではない)比較的多くの学生たちも、これに対応していかなくてはならないのだが、であれば、大学が求めているような対面授業の代替物ではなく、対面授業とは別物、もう一つの選択肢として準備するしかないんじゃないかなと思っている。教員も学生もお互いに少しずつ交渉しながら、オンライン授業ってこんな感じ、という複数の様態を各所で作りあげていくというか。facebookではすでにオンライン授業に対処するためのグループが立ち上がり、1万人を越える人たちが登録して情報のやりとりが始まっている。

すでに授業を始めている教員の中には勢い余って、これからはオンライン授業が盛んになって、その技術を持った教員が複数の大学で教えるようになり、大学教員の淘汰が始まる、とか物騒なことを書いたりしている人もいるけれども、なかなかそんな風にはならないだろう。大学はカルチャーセンターではないから。でも経済性を考えてそうするところが出てくるかもしれない。大学できちんと勉強していない人たちなら、なおさらそうしそうだ。

それはともかく、今回久しぶりにブログを再開しようと思ったのは、オンライン授業を構成するのにあたって、いろいろ記録しておく方がいいだろうと思ったから。とくに、僕は社会調査をやっていたり写真を撮っていたりするので、標準的な文系大学教員に比べて機材などを持っているはずで、これがオンライン教材を作るのに少し役に立ちそうである。であれば、とくにこれから大学教員になるような大学院生たちに、少しは助けとなる情報を伝えることが出来るんじゃないかなと思ったのだ。facebookの書き込みだと「友人」にしか読めないので、ブログにした方がよさそうだし。

まあ、長い前書きはそんな感じで、とにかくオンライン教材作成の話。講義形式の授業で、一番簡単で標準的な方法は以下の通りだろう。

①パワーポイントで授業ファイルを作成する

②各ページに説明用の録音ファイルを埋め込む(メニューの「挿入」→「オーディオ」から出来る)

③それらの録音ファイルは自動再生に設定しておく

④全ファイルをムービーに書き出す

最近のノートPCはカメラもマイクも標準装備なので、大抵の場合はこれで出来る。ただし、僕の場合はちょっと問題が。いつも使っている古いMacBookPro(mid 2015)のマイクだと、余計な音を拾ってしまうのだ。家人が台所で歌っている声とか、近所の電車の音とか。で、マイクを外付けしようと思ったのだけれども、MacBookProにはマイク端子はない。が、実はヘッドフォン端子に、マイク付きヘッドフォン(4芯のもの。コールセンターでつかっているようなヘッドフォン)を挿せば、マイクが使えるようになる。これが一番簡単な方法。ヘッドフォンを使いたくない場合には、USBマイクを買う。ということで、聞きやすい音で録音をしてファイルを作ろうという人は、マイクを買いましょう。

ここまでは当たり前なのだけれども、社会調査をやっている人であれば、教材作成のときしか使わないようなUSBマイクを買う以外の選択肢もある。僕の場合は手持ちの調査機材で使えないものがないかを考えてみたら、あった。ZoomのF1というフィールドレコーダー。これは少し値段が張るけど、とっても有用性の高いレコーダーで、ガンマイクで録音できるだけでなく、服などにつけるラベリアマイク(いわゆるピンマイク)も接続できるし、比較的広範囲に録るステレオマイクも接続できる。いずれのマイクも極めて優秀で、何よりマイク感度がそのままダイヤルで調整できるので、非常に便利。しかもデジタルカメラで映像を撮る時に接続できれば(カメラにマイク端子があれば)、開始と終了にテストトーンも出せる便利な代物。テストトーンが出せれば、映像と音声を編集する時に同期がしやすいのだ。

で、ここが重要なのだけど(前振りが長いね)、F1はPCとUSB接続した時に、オーディオ・インターフェースとして使える、つまり、USBマイクの接続装置となるのである。ガンマイクを使って録音すると志向性が高く、余計な音を拾わずに済むので、非常に良かった。

もっとも、調査はしないし、写真や映像撮影よりは音楽演奏が趣味という人は、こういう、ついでにインターフェースになるものよりも、オーディオ・インターフェースそのものを買った方が良いかもしれない。ダイナミック・マイクをつなげば、ヴォーカルを録るような形で音声が録れるから。コンデンサー・マイクは周囲の音を拾うから、僕のような環境には向かない。このタイプの機材についてはまた改めて書こう。

ただ、F1だと、PCの前に座ってパワーポイント動画を作成する以外にも、たとえば、板書をする授業をデジタルカメラで撮影して教材を作るといった場合にも活躍するのがいい。その機材や方法についてもまた今度書くけれども、調査をする人たちにとっては選択肢の一つとしてあってもいいと思う。調査音源を良い音で残すのにも最適だ。