オンライン授業のこと(4)短い動画への平坦な道②

大学関係のオンライン業務をめぐっては日々さまざまな変化が生じているようで、うちでも教授会などの会議がZoomで行われることになった。今まさにMacBookProをMac mini 2020にリプレースしている最中なので内蔵カメラがなくなってしまって困るのだが、近日中に何とかしよう。手持ちの機材でWebCameraを構築してみるのは面白そうだ。

さて、今回も前回に引き続き、オンライン授業用の短動画作成の方法の話。前回はスマホのとくにOpen Cameraというソフトを推奨するというニッチな話だったけれども、今回はPCでそのまま撮影する場合の話。話の中心はソフトの使い方。

MacBookなどMacのマシンであれば、QuickTimeで撮影が可能だ。QuickTimeを立ち上げて、メニューの「ファイル」から「新規ムービー収録」を選べば、デフォルトで搭載されたカメラで顔が映し出されると思う。表示画面中央下の録画ボダン横をクリックすれば、カメラとマイクの設定が出てくるので、外付けのカメラやマイクを使う場合にはそこで選ぶことになる。

ただ、QuickTimeは保存されるファイルがmovというMac規格の動画なので、学生が環境的に再生可能なのかどうかということと、movは画質がいいけど重いので、それが心配。そこで学生の利便を考えて、変換して軽くしておくことが必要だと思う。

方法としては、movファイルをVLCメディアプレイヤーで変換してMP4あたりに換えておくこと。メディアプレイヤーを起動して「ファイル」「変換/ストリーミング」と進み、動画を開いて「H.264+mp3」に変換するだけ。おそらくファイルの大きさが3分の一から4分の一程度になる。ただ、場合によっては音が出なくなってしまうので、変換するときに変換ボタン横の「カスタマイズ」を開いて「オーディオ」のタブで「オリジナルのオーディオトラックを保持」とすると、音も聞こえるようになった。

個人的にはこの画質はちょっとどうかと思うので、外付けカメラと外付けマイクが必要だけれども、とりあえず何とか短動画は作れると思う。

ホントはここで止めておきたいのだけれども、WINDOWSしか使っていない院生のために、非力なWINDOWS PCで短動画を作成する方法を確認してみよう。そこで、ほとんど廃棄直前の我が家唯一のWINDOWS PC、ASUSのX205Tという死ぬほど鈍いモバイルノートを出してきて使えるように調整した。現在であれば中古で1万円程度の代物。

WINDWOSのことはよく分からないので、上と同じくVLCメディアプレイヤーを使えば良いかなと思って作業した。QuickTimeを入れておけばMacと同じように作業できるし、おそらくZoomでも出来るだろう。その方が簡単だと思う。でもとりあえずこちらで。そもそもX205TにはZoomは過負荷だと思うし。

今回もVLCメディアプレイヤーを立ち上げて、メニューの「メディア」「ストリーム」を開き「キャプチャーディバイス」のタブから「ビデオデバイス」「オーディオデバイス」それぞれにPCに搭載されている(あるいは自分でつないだ)カメラとマイクを指定、その後一番下の「ストリーム再生」を押すと次ページに「入力元」と出るから、そこではそのまま「次へ」を押す。

次は「出力先の設定」だが、このとき「ローカルで再生する」というところをチェックしておくこと。そうでないと録画ファイルが出来ない。チェックしたらまた「次へ」を押す。「トランスコーディング」も選択せずに「次へ」、「オプション設定」もせずに「ストリーム」を押すと、ようやく自分が映るはず。で、この映っているものを録画するときは、自分が映っている枠の「再生」メニューの中に「レコーディング」があるので、それを押す。押すと録画開始。停止を押すまで録画がされる。これで録画ファイルが作成される。

ただ、録画ファイルは「マイビデオ」の中にあると思うのだけれども、WINDOWS規格のaviファイルなので、重いし、そのままだと見られない学生がいるかもしれない。そこでやはりメディアプレイヤーで変換を行う。「メディア」「変換/保存」を開くと「ファイル」のタブで録画ファイルを選択して「変換/保存」ボタンを押す。次の変換の場面で適したプロファイル、たとえば「Video for Android SD」などを選んで、「参照」から出力ファイル名を付けて「開始」をすれば、変換の進行状況が表示されて、変換されたMP4ファイルが保存される。これで短動画は完成する。

やれやれ。WINDOWSには慣れないので結構苦労した。機材の話が出来なかったし。次回は他の動画作成方法、とくに機材について考えてみたい。

オンライン授業のこと(3)短い動画への平坦な道①

オンライン授業に関して、このところいろいろ動きがあるので、少し前口上を。

名古屋大学教養教育院が教員のためのガイドを公開したので、まずはそれが参考になる。とくに学生の学習効果を一つのメルクマールに分類しているので、授業方法を選ぶ際の指針ともなる。また同サイトでは、Zoomなどを使ったリアルタイム講義と、このブログが主として言及しているオンデマンド講義、それぞれの特徴、メリットやデメリットも挙げているので、それも見ておく必要もあるだろう。オンライン授業のための具体的なリソースリストも個人的努力で構築され共有されている。facebookの「新型コロナ休講で、大学教員は何をすべきか」ページは参加者が多くなりすぎた一方で過去ログが埋もれているせいか、多少カオティックになっている。もちろん有用な情報も流れているのだけれども、取り出しにくくなっている。

そして何より、オンライン授業になってしわ寄せが来ているのが、そもそもから不利な条件におかれた学生たちであることが明らかになりつつある。従来、一つの教室という同じ環境・同じ条件に集められた学生たちであれば埋もれていた差異が、公的リソースの喪失という事態で浮き彫りになっている。授業料の免除や軽減の問題などは大学規模や国家規模で対処すべき問題なので、それぞれの教員に出来ることはそんなに多くないと思うけれども、緊急奨学金の給付などが出来ないかを各所で検討してみよう。この問題への日々の接近の仕方として、教材作成時には、少なくとも家中に十分な速さの有線LANが張られていてPCやプリンターやスキャナが揃っている学生と、PCもなく格安スマホをギリギリで契約している学生とが、同じ授業を受けている可能性を考えよう。しかも図書館やPC室などの公的リソースも使えないなんて、なんとも条件の悪いRPGのようだけれども、オンライン授業での緊急措置で著作権の補償が今年度に限って無料になったので、それを十分に活用しよう。

ということで、パケット代のことを考えたら歯がゆい局面だけれども、今回も文系研究者のための具体的な機材や教材作成方法をここでは示していく。それもまた必要だと思うから。とはいえ、今回も細かいソフトの話はしない。Audacityとか無料の良い音声編集ソフトがあるのだけれども、そういうのは別のところで読めると思う。必要が出てきたら書くけど。

さて前回は、マイクのないPCでパワーポイント動画を作るためのICレコーダー活用方法という、何ともニッチな話を書いた。今回も同様にニッチに、オンライン授業にバリエーションをもたす方法として、ごく短い動画(以下、短動画)を入れる機材の話をしたい。そもそも長い時間の動画など見てもらえないし、重くて見ていられないので、肝心な部分だけ動画にするという手もあると思う。あくまで音声中心の授業の付録みたいに。

なぜ短動画がいるのか。そもそも教員の顔を全く知らないでその人の授業を受けるのはどうなんだろうか?というのが、僕の個人的な感触である。これからは当たり前になるかもしれないけれども、今はまだ違和感があるだろうし、モチベーションもあがらないだろうと思うので、そのような状況に対処するために、顔出しした短動画を見せるというのはアリだと思っている。1分くらいで十分じゃないかな。

さて、短動画作成のための最も身近な機材は、やはりスマホである。インカメラを使って撮るというのが基本だろう。全てオートで撮れるので原則的には何の心配もいらない。が、撮ろうとすると気づくと思うが、手で持って撮るわけには行かない。本の表紙や資料を持って見せたりすることもあるので、せめて三脚とスマホのホルダーは準備したい。三脚は小さいの一つ持っていると何かと便利だ。

で、そういうときに一番確かなのは、マンフロットのスマホホルダー付きの小さな三脚だろう。これはその筋では結構有名なもので、デザインも良いので人気だが、他のメーカーにももっと安い同様のものはある。いわゆるテーブルトップ三脚というジャンルである。ただ、この製品への個人的不満としては、スマホを横にした形でしかホールド出来ないこと。縦置きが使えると作業に幅が出て非常に便利なので、僕はマンフロットの三脚に、雲台だけエツミのモビヘッドを載せて使っている。ホルダーが縦横自由に動くので便利だ。このホルダーは、そもそもはデジタルカメラの上にスマホを装着するためのものだが、このように流用できる。

結果的に、左の写真のような感じで撮ることになるんじゃないかな。

ただ、最近のスマホを使っている人はそうでもないと思うけど、僕のスマホは少し古くて性能もそれほど良くない。とくに音質が気になる。音質改善のためにはやはりマイク、とくにラベリアマイク(ピンマイク)が必要なのだが、4芯のマイクは種類が少なく、しかも品薄。なので、アダプタをつけて手持ちのマイクにつなぐという手もある。

マイク端子(4芯)で音を録る時には、撮影するカメラアプリを携帯デフォルトのものから、Open Cameraに換えるのを忘れないようにしよう。デフォルトのカメラアプリでは外部マイクが設定できないことが多かった(今はそうでもないのかな)。Open Cameraは代替アプリとして優秀。上の写真では、実は昔iPodで使っていた4芯のミニマイクをつけて試してみた。が、音質は全然ダメだった

スマホで短動画を撮る方法は便利で楽なのでおすすめなのだが、個人的には、今の古いスマホを買い換えてからにしようと思っている。

オンライン授業のこと(2)録音機材のこと②

前回はフィールドレコーダーのオーディオ・インターフェースへの転用について書いたので、今回はその続きという感じで、他の録音機材について書いておく。といっても、音響に関する専門的なことなどは分からないので、調査機材をオンライン教材作成に転用するという観点から書いてみる。

というか、前回書き忘れたけど、オンライン教材で肝心なのは、現時点ではおそらく映像よりも音声だと思う。容量的にも目指すべきは、YouTube方向ではなくオールナイトニッポン方向なんじゃないかな。知らんけど。

社会調査の授業でインタビューを学生たちに課していて、自分でも研究の過程でインタビューを行うので、レコーダーというのは僕の教育研究にとって最も重要な機材。そもそも民生用レコーダーの普及は社会学を変えた一因であるのだけれども、それはともかくとして、大学院の頃は、調査の性質からして目立たない方が良いので、マイクロカセットレコーダーを使っていたものの、途中からMDに替えて、MDとICレコーダーの併用時期を経て、今はICレコーダーのみ。これは調査を行ってきた人の一般的な経路だと思う。ICレコーダーになったことで、結果的にオンライン教材が作りやすくなったのは助かる。

で、レコーダーをどう使うのか。前回のようにマイクを備えたPCを使って、パワーポイントのファイル上で音声を一発録りして保存するのではなく、ICレコーダーに吹き込んだものをPCにコピーして、それをパワーポイントのファイルの上に載せるということになる。なので、ICレコーダーはPCに直接USB接続が出来るものが便利だ。マイク録音に比べて面倒に思うかもしれないけれども、これだとマイクがないデスクトップPCを使っている場合にも、オンライン教材を作成できる。僕も近々MacBookProをMac miniにリプレースする予定なので、このやり方が一つの選択肢にはなる(Zoom F1を使うとは思うけど)。いずれにしても多くの人が調査や講義の録音などのためにICレコーダーは持っているだろうから、わざわざ新しい機材を買わなくていいというのが利点。

でも実はもっとお金がかからないのがあって、スマホを使う方法。iOSでもAndroidでも、ボイスレコーダー用のアプリがあるので、それで録音をする。それらにはたいてい編集機能もあるので、もし必要があればトリミングなどの編集をすればいい。その後、それらを無料のクラウドに上げるか、自分宛にメールに添付して送り、PCでダウンロードしてからパワーポイントの各スライドに挿入すれば良いわけだ。これだと追加投資はいらないので、院生の懐にも優しいと思う。

パワーポイントでは、前回の作業の②と同様、「挿入」→「オーディオ」で今回は「オーディオをファイルから挿入」して、そのファイルを選べば各スライドに音声が載るので、これを自動再生にしておいてMP4ムービーに書き出せばいい。

録音ファイルはAndroidだとmp3かwave、iOS だとおそらくMP4オーディオになるだろうけど(iPhoneではないのでよくは知らない)、とくに問題はない様子。ただ、waveは音質は良いけど大きいので、受講生の利便性を考えたらmp3にするのが適切だと思う。僕もパケット代のことを考えて、オンライン授業用のページに、パワポ動画とともに、同内容の「スライドのPDF+音声のmp3ファイル」を教材として置いている。

以下は余談。ICレコーダーにも、前回紹介したZoom F1のような多機能なものや、宅録で使えるようなミュージシャン方向のものから、PCに接続できない簡易なものまでいろいろある。今まで何台も買い換えてきた経験からすると、思いのほか重要なのはマイクかも、と思っている。数人で話すときと対面でインタビューをするときとはマイクを換える必要があるし、座って話を聞くときと、歩きながら聞くときとでは、やはり換える必要がある。映像を撮りながらであれば、ラベリアマイク(ピンマイク)を使うこともありうる。

おそらく、「大勢で座って」というのと「対面で歩きながら」という両極を想像して、2種類あるといいんじゃないかと思う。前者は、写真でいうと右から二番目のaudio-technicaのAT9745みたいな平面型のもので、今だったらAT9921あたりがいいかも。後者もいろいろあるけど、最近よく使っているSONYのPCM−A10だったら(一枚目の写真の手前)、そのままか、屋外では風よけのウィンドスクリーンをつけるだけでいい。ただ、以前はメインに使っていて、今はバックアップ用に併用しているICD-UX565では(一枚目の写真の奥)、場合によってはAT9911を使う。これにもウィンドスクリーンがあるから。歩きながら話を聞くと(調査中にはよくある)、風の音が入ってうるさいことも多いので、こういう小物は割りと大事かもしれない。