ファインダーの快楽

RICOH GR1s w/GR Lense 28mm 2.8, 100TMX
RICOH GR1s w/GR Lense 28mm 2.8, 100TMX

久しぶりにZeiss Ikonを持ち出した。お供はPlanar 50mm 2.0ZMにTMAX 100。Zeiss Ikonは距離計すなわちレンジファインダーの再調整が済んで、非常に明るいファインダーの中で、二重像がピッタリ合う。ごく自然にスッと合うと撮っていて気持ちいい。撮ってる間にどんどん撮る気になる。いろいろカメラを使ってきたし使っているが、結局はファインダーの気持ちいい機材が自分にとっての愛機であり現役だ。こればかりはデジタルにはない快楽だろう。なので、次回はやはりNikon F3かな。。

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わかりにくい写真

RICOH GR1s w/GR Lense 28mm 2.8, 100TMX
RICOH GR1s w/GR Lense 28mm 2.8, 100TMX

写真展を見てくれた同僚が「普通の写真なので何が良いのか分からなかった」という感想をくれた。率直なその意見に驚いたが(笑)、なるほどとも思う。最近、コンポラ写真を題材にした論文を書いたのだが、そこに至る過程で数年間コンポラを見続けたせいがあるかもしれない。コンポラ写真とは1960年代後半に一世を風靡した日本写真の一群のことである。代表的な作家に下津孝之や新倉孝雄、牛腸茂雄などがあげられるだろう。件の論文はコンポラ写真をめぐるディスコースの分析であったのだが、それらを見ていくと、コンポラ写真については「わかりにくい写真」という語り方もあったということがわかる。とはいえ、展示した写真について、自分自身としてはわかりにくいとは思えないところが、また面白い。

写真だらけ

RICOH GR1s w/GR Lense 28mm 2.8, 100TMX
RICOH GR1s w/GR Lense 28mm 2.8, 100TMX

最近はあまりカメラを持ち歩かないのだが、かといって写真に飽きたというわけでは全然なく、むしろ歩きながら「これって写真だよな」という視界に出会うことは以前よりも楽しい。そういうとき、カメラを持ち歩いていれば撮る場合もあるのだが、カメラがないならないで、「あー、こういう感じかなー」などと意味不明につぶやきながら、それを眺めてしばらく楽しんだのち、また歩き始める(場合によっては、走り始める)。「こういう感じかなー」の「こういう」のは、たいていはかつて見た写真だったり、それから触発されたイメージだったりする。なんかだんだん「世界は写真だらけなんじゃないか」などと思い始めたりもしている。

機材

Zeiss Ikon w/ VoightLander COLOR SKOPAR 21mm F4, 400TMY-2
Zeiss Ikon w/VoightLander COLOR SKOPAR 21mm 4, 400TMY-2

写真も撮ることになっている3月の調査出張に、前回の写真群との連続性も考えてBronica RF645を持っていこうと、前回と同じフィルムも買っておいたのだが、今回からはデジタルにするべきかもしれないとまだ迷っている。RF645はセミ判の割りに小さいから便利なのだが、RFなので寄れない。寄るんだったらマクロもあるし、レンズも一段明るいPENTAX 645Nという手もあるが、RF645の方がレンズシャッターなので実はブレにくい。645Nだとバウンス用のストロボもいりそう。だったらもういっそのこと、ISOが上げられて28mmだったら30cmまで寄れるD800Eにした方がいいかもしれない。場合によってはクロップすればいいし。しかしそうすると肝心の色が…うーむ。困った。写真部OBにも言われたし、やはりデジタルかなあ。

「話をする」その仕方

Zeiss Ikon w/Carl Zeiss Biogon 28mm 2.8 ZM, 400TMY-2
Zeiss Ikon w/Carl Zeiss Biogon 28mm 2.8 ZM, 400TMY-2

写真部で1年生向けに写真に関する勉強会をするというので「だったら手伝いますよ」と言っておいた。無理やり(?)入れてもらっているので、これでも少しは貢献しないとと思っているのだ。すると、何故か僕に合わせて日程が決まってしまい、「お話楽しみにしています」とかいうメールが。じゃあちょっと真面目に写真の話をしないといけないのかなあ、だとしたら基礎的な話をした方がいいのかなあ、とすると歴史とかも多少おさえておかないとなあ、などと考えている内に、文献や写真集をいくつも引っ張り出して、授業1コマ分くらいの準備をしてしまった。考えてみると、他に「話をする」やり方を知らないし。で、風邪をおして勉強会に行って、プロジェクタを使っていろんな写真集を映し出しながら、90分間まるで授業のように話してしまった。うーむ、風邪で少々モウロウとしてたので、場の空気を読めなかったけど、果たしてどうだったんだろうか…(笑)

スタイケン写真展

Canon III w/Leitz Summaron 3.5cm f3.5
Canon III w/Leitz Summaron 3.5cm 3.5, 400TX

とんぼ帰りの東京出張だというのに、無理やり時間を作って世田谷美術館で開かれているスタイケンの写真展に行ってきた。基本的にヴォーグとバニティ・フェアのために撮った写真の展示なのだが、最近モダニズム写真に興味があるので見に行った次第。本当は彼自身の写真よりも彼のキュレーションによる「ザ・ファミリー・オブ・マン」なんかが見たいのだけれども、ルクセンブルグに行く用事がない。で、どうだったかというと、気に入ったのもあったけど、全体的には微妙(笑)この頃のフィルム感度は低かったんだろうなあと思わされることもしばしば。有名人を撮ったものよりも、物を撮ったり、スナップ風のものの方が良かったり。でもフライヤーになっているグロリア・スワンソンの写真は確かに良かった。

ランニングと認識

Light through the window
RICOH GR1s w/GR Lense 28mm 2.8, 100TMX

昨夏は冷房を使った弛緩した生活を送っていたせいか、自律神経失調症からはじまってかなり体調を崩したので、晩夏にそれを反省し、体調を整えるために9月19日から(ほぼ)毎日ランニングを始めた。これまでの5ヶ月近く、インフルエンザや胃腸炎での休止(9日間)を除くと1週間程度しか休んでいない。我ながらよくやると思うが、体調不良で家族に迷惑をかけたことがやはり大きい。あんなのは二度とゴメンだ、というわけだ。おかげで最初は4、5kmを30分くらいでやっとこさ走っていたのが、最近では1km5分強のペースで8kmくらいは走れるようになった(まあしかし、いまだその程度ではあるけれども)。さすがに毎日8kmを走ると足に疲れが残っている気がするが、翌日になればなんとかなるものである。ちなみにこの「1km何分」という捉え方がランナーの速度認識の標準パターンである。自分が特定の認識パターンを使用すること(それを語り、利用すること)で、個々の行為とその連関が新たに組織化されていくという過程が生じることや、他のランナーの速さが実感として分かる過程が生じることが、実はけっこう面白い。

Zeiss Ikonの調整

Zeiss Ikon w/Carl Zeiss Biogon 28mm 2.8 ZM, 400TMY-2
Zeiss Ikon w/Carl Zeiss Biogon 28mm 2.8 ZM, 400TMY-2

Zeiss Ikonの修理というか、距離計調整が終わって、手元に戻ってきた。思ったより時間がかかった(3週間くらい)が、戻ってきてホッとした。こいつがないと何か落ち着かない。それにしても、距離計調整・フランジバック調整・各部点検などという作業なのに、送料込み4200円というのはけっこう安いような気がする。儲けは出さずに純粋にサービスという位置づけなんだろうけど、コシナ、やるなあ。

温度計

Bronica EC w/Nikkor-O・C 50mm 2.8, 100TMX
Bronica EC w/Nikkor-O・C 50mm 2.8, 100TMX

久しぶりに現像をしたら、どうやら温度計が壊れていたようで、わずかに高い温度で現像してしまった様子。ネガはそう悪くはなさそうだけれども、いつもの感触とは違うので、ちょっと凹む。ネガがキリッとしていないと、やはりどうにもならない。油断したなあ。もっとも、暗室に5本ほどある温度計を、全部一度に比べてみたら、同じ液体につけているのにどれも少しずつ違う温度を指していた(笑)これから暗室には私物の温度計を持っていこうかな。

テーマと方法

MGR
Zeiss Ikon w/Carl Zeiss Biogon 28mm 2.8 ZM, 400TMY-2

現在、アクタ西宮の西宮市北口ギャラリーで開催されている大学OBの写真展に数点出展させていただいている。最近わりと展示する機会が多い。そこで、どういう展示をしたいのか、ネガやベタ焼きを見ながらいろいろ考える。『ライカとモノクロの日々』の内田ユキオ氏はポートフォリオを見せてハービー山口氏にアドバイスを受けたことを書いているけれども、そこではひとつのテーマを決めてそれで撮っていくのがいいといわれたという。とはいえ、大事なのは、この「テーマ」というものを、どのように考えるかという、その方法の方だろう。いや、考えるというよりも感じるという方がしっくり来る、そういう意味での方法。仕事の合間にネガや試し焼きを眺めながら、そんなことをつらつら考える。