ディストピアと連帯と

KyotoGraphieはのべ3日にわたって通ったものの、残念ながら、第一展示場である京都新聞ビル印刷工場跡に行くことが出来なかった(それ以外は全て回ったのに)。中心部を上手に回れなかった(枠外でラルティーグやアーウィットを回ってしまった)り、丹波口の展示を優先してしまったからである。しかしそれで良かった理由の一つは、丹波口でギデオン・メンデルの映像を見られたこと。写真も良かったが、いくつものモニターで洪水のシーンが同時に映し出され、それぞれ別々の場所、別の時間なのに、同じような問題に対して同じような作業を行う人々や家族を同時に見ることで、不幸の場所や時間や人の違いは捨象され、われわれ感覚のようなものが浮かび上がってきた。彼のこれまでの作品(ナショナル・ジオグラフィックに掲載されたものなど)からディストピアや環境問題がその主題として論じられるし、実際そうだと思うのだけれども、同時にそれらを引き受けるわれわれ同士の結びつきを撮っているとも思わされた。それがおそらく写真や映像の力なのだろう。あの映像はとても美しかった。もう一度見たい。

Leica CL w/Carl Zeiss Planar 50mm 2.0, AGFA VistaPlus200

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オールドレンズ(2) CARL ZEISS Planar 50mm 2.0 ZM

Carl Zeiss Planar 50mm 2.0 ZM  コシナのプラナーはいわゆるオールドレンズではない。オールドレンズと呼ぶには少なくともディスコンになっていなくてはならないはずだが、これは現行モデル。コンピュータで設計されているはずなので、デジタルにも余裕で耐えられる。ではどうして取り上げるのかというと、このレンズはオールドレンズ同様MFで、しかも他のオールドレンズと異なり、フォーカスリングの回転角が小さくて使いやすいという特徴があるから。AFかMFかということよりもフォーカスリングの回転角が大小の方が大事だと教えてくれる。MFは慣れればどうってことない。そして何よりもそのレンズの画が好きかどうかというのが最も大事だと教えてくれる。Zeissらしい発色とコントラスト、画像のキレがいい、でもキレすぎない、味のあるレンズ。

SONY ILCE-7M2 w/Planar 50mm 2.0 ZM
SONY ILCE-7M2 w/Planar 50mm 2.0 ZM

組み合わせ

an escalator
Zeiss Ikon w/Carl Zeiss Planar 50mm 2.0, 400TMY-2

久しぶりに暗室でプリントをした。昔使ったことがあるものの普段は使ってこなかった印画紙と、これまで使ったことのない印画紙の両方を、これまで使ったことのないプリント用現像液で試してみた。同じ会社の印画紙で、同じマルチグレードなのに、階調の出方に違いがあって面白かった。一方は焼き方に多少工夫が必要だが、そっちの方がタッチは気に入っている。これまで印画紙を細かく比較することもなかったし、それを意識して使うこともなかったので、しばらくはこういう感じでいろいろ試してみようかとも。次は現像液を替えてみるとか。どんどん印画紙がなくなる時代だけれども、比較的残りそうなもののなかで、ひとつ基準を作っておくのがいいかもしれないと思っている。

現像

leaves
Zeiss Ikon w/Carl Zeiss Planar 50mm 2.0, 400TMY-2

久しぶりにモノクロフィルムの現像をした。定着から予備水洗に移るときに、タンクからリールを取り出して画像が抜けているかどうか確認する瞬間が楽しい。自家現像はこのときのためにしている気さえする。最近はわりと好みのトーンが得られるようになってきた。思い込みかもしれないけれども、思い込みはとても大事。そしてまたしばらくして反省するのだ。

太陽の塔を好きだというので

いまだ自家現像が出来るような境遇にはないのだけれども、デジタルばかり使っているとどういうわけか写真を撮っている気分になれないので、フィルムを使うことにした。越してきてはじめて片付けのための買い物以外で外出したということも大きい。F3でも良かったのだけれども、なんとなく軽い方がいいと思って、Zeiss Ikonを持ち出した。これを持ち出すのも久しぶりである。

で、どこに出かけたかというと、小学校一年生の息子がどうしても本物が見たいというので、太陽の塔を見に行った。テレビで見て行きたくなったという。

太陽の塔のすごいところは、いつまでも古びないところ。裏から見るとウルトラ怪獣みたいでなおすごい。万博公園にはそれほど長い時間いなかったのだが、息子はお目当ての塔がいたく気に入ったようで、これまでフィギュアなど欲しがったことないのに、太陽の塔のフィギュアが欲しいと盛んにアピール。そんなものあったのかと驚いたが、仕方がないので買ってあげると、家でも常にそれで遊んでいる。ちょっと不思議な光景。

しかしこれにはさらに後日談があって、僕は3日4日と勤務だったのだけれども、嫁さんと息子は3日にまた太陽の塔を見に行ってきたらしい…。どんだけ好きなんだ(笑)。

The Tower of Sun
Zeiss Ikon w/Carl Zeiss Planar 50mm 2.0 ZM, Centuria 100