
少数民族の村を回っていて気づくのは、子供たちがとても可愛いこと。自分に子供がいるせいもあるのかもしれないが、ついつい目がいってしまう。そしてついついカメラを向けてしまう。写真家の渡部さとるさんが「アジアの島に行くと子供が好きになる。だからついつい子どもの写真が多くなるのかもしれない」と書いているが、わかるような気がする。(雲南篇終わり)

マーケットは楽しい。旅先では必ずといっていいほどマーケットをぶらついてしまう。ここ、ガサのマーケットでは、煙草の葉は乾燥しないよう、白菜の葉などが上に被せられて売られている。煙草の葉は1斤でいくらという形で売っているのだが、斤の示す重さは実は地域によって違うらしい。昆明では1斤が1kgらしいが、玉渓やこのあたりでは1斤が500gだという。ややこしい。葉にも多少種類があって、店先の水パイプで試しながら選ぶことができる。マーケットの真ん中あたりには肉屋が集まっている。そこでは11歳の男の子が両親の作業を手伝っていた。家業という感じなのだろう。
他の場所でも多かれ少なかれそういう傾向が見られるけれども、世界一の煙草の産地である雲南でさえ、女性が喫煙することはあまり良いこととされていない。通訳の女性は「今の雲南では煙草を吸う女性はいい女性とは見なされない」というが、昔からそうだったようだ。となると、本来はロールモデルがいないので喫煙は広がらないはずなのだが、この女性の場合は若い頃に吸ってみたくて、自ら手に入れて見よう見まねで吸いはじめたという。この村ではこの方以外喫煙する女性はいなかったし、この女性が喫煙することについては、会う人会う人が必ずというほど知っていた。私が差し上げた紙巻き煙草は礼儀として火をつけたものの床に置かれ、彼女は手持ちの葉に線香で火をつけ、水パイプで吸った。
雲南の伝統的な喫煙方法は水パイプである。いまだ使用されている。現在の典型的なパイプは市販されているアルミ製のようだけれども、自分が使う分は竹で作るという人もいるし、あるいはガサ近くの焼き物を特産とする村には、焼き物のパイプもあった。他にもコノテガシワという庭木に利用されている樹木から作ったものもあったし、ここで見られるような大型のものではなく小型のものではプラスチック製のものもある。しかし材料は異なっても形態は同じ。この形態はおそらくは伝統的なもので、フィルタ付きの紙巻きが出現する以前からのものだろう。こんにち煙草は紙巻きが主流であるため、紙巻きもパイプ経由で吸ったりしている。