オンライン授業のこと(4)短い動画への平坦な道②

大学関係のオンライン業務をめぐっては日々さまざまな変化が生じているようで、うちでも教授会などの会議がZoomで行われることになった。今まさにMacBookProをMac mini 2020にリプレースしている最中なので内蔵カメラがなくなってしまって困るのだが、近日中に何とかしよう。手持ちの機材でWebCameraを構築してみるのは面白そうだ。

さて、今回も前回に引き続き、オンライン授業用の短動画作成の方法の話。前回はスマホのとくにOpen Cameraというソフトを推奨するというニッチな話だったけれども、今回はPCでそのまま撮影する場合の話。話の中心はソフトの使い方。

MacBookなどMacのマシンであれば、QuickTimeで撮影が可能だ。QuickTimeを立ち上げて、メニューの「ファイル」から「新規ムービー収録」を選べば、デフォルトで搭載されたカメラで顔が映し出されると思う。表示画面中央下の録画ボダン横をクリックすれば、カメラとマイクの設定が出てくるので、外付けのカメラやマイクを使う場合にはそこで選ぶことになる。

ただ、QuickTimeは保存されるファイルがmovというMac規格の動画なので、学生が環境的に再生可能なのかどうかということと、movは画質がいいけど重いので、それが心配。そこで学生の利便を考えて、変換して軽くしておくことが必要だと思う。

方法としては、movファイルをVLCメディアプレイヤーで変換してMP4あたりに換えておくこと。メディアプレイヤーを起動して「ファイル」「変換/ストリーミング」と進み、動画を開いて「H.264+mp3」に変換するだけ。おそらくファイルの大きさが3分の一から4分の一程度になる。ただ、場合によっては音が出なくなってしまうので、変換するときに変換ボタン横の「カスタマイズ」を開いて「オーディオ」のタブで「オリジナルのオーディオトラックを保持」とすると、音も聞こえるようになった。

個人的にはこの画質はちょっとどうかと思うので、外付けカメラと外付けマイクが必要だけれども、とりあえず何とか短動画は作れると思う。

ホントはここで止めておきたいのだけれども、WINDOWSしか使っていない院生のために、非力なWINDOWS PCで短動画を作成する方法を確認してみよう。そこで、ほとんど廃棄直前の我が家唯一のWINDOWS PC、ASUSのX205Tという死ぬほど鈍いモバイルノートを出してきて使えるように調整した。現在であれば中古で1万円程度の代物。

WINDWOSのことはよく分からないので、上と同じくVLCメディアプレイヤーを使えば良いかなと思って作業した。QuickTimeを入れておけばMacと同じように作業できるし、おそらくZoomでも出来るだろう。その方が簡単だと思う。でもとりあえずこちらで。そもそもX205TにはZoomは過負荷だと思うし。

今回もVLCメディアプレイヤーを立ち上げて、メニューの「メディア」「ストリーム」を開き「キャプチャーディバイス」のタブから「ビデオデバイス」「オーディオデバイス」それぞれにPCに搭載されている(あるいは自分でつないだ)カメラとマイクを指定、その後一番下の「ストリーム再生」を押すと次ページに「入力元」と出るから、そこではそのまま「次へ」を押す。

次は「出力先の設定」だが、このとき「ローカルで再生する」というところをチェックしておくこと。そうでないと録画ファイルが出来ない。チェックしたらまた「次へ」を押す。「トランスコーディング」も選択せずに「次へ」、「オプション設定」もせずに「ストリーム」を押すと、ようやく自分が映るはず。で、この映っているものを録画するときは、自分が映っている枠の「再生」メニューの中に「レコーディング」があるので、それを押す。押すと録画開始。停止を押すまで録画がされる。これで録画ファイルが作成される。

ただ、録画ファイルは「マイビデオ」の中にあると思うのだけれども、WINDOWS規格のaviファイルなので、重いし、そのままだと見られない学生がいるかもしれない。そこでやはりメディアプレイヤーで変換を行う。「メディア」「変換/保存」を開くと「ファイル」のタブで録画ファイルを選択して「変換/保存」ボタンを押す。次の変換の場面で適したプロファイル、たとえば「Video for Android SD」などを選んで、「参照」から出力ファイル名を付けて「開始」をすれば、変換の進行状況が表示されて、変換されたMP4ファイルが保存される。これで短動画は完成する。

やれやれ。WINDOWSには慣れないので結構苦労した。機材の話が出来なかったし。次回は他の動画作成方法、とくに機材について考えてみたい。

オンライン授業のこと(3)短い動画への平坦な道①

オンライン授業に関して、このところいろいろ動きがあるので、少し前口上を。

名古屋大学教養教育院が教員のためのガイドを公開したので、まずはそれが参考になる。とくに学生の学習効果を一つのメルクマールに分類しているので、授業方法を選ぶ際の指針ともなる。また同サイトでは、Zoomなどを使ったリアルタイム講義と、このブログが主として言及しているオンデマンド講義、それぞれの特徴、メリットやデメリットも挙げているので、それも見ておく必要もあるだろう。オンライン授業のための具体的なリソースリストも個人的努力で構築され共有されている。facebookの「新型コロナ休講で、大学教員は何をすべきか」ページは参加者が多くなりすぎた一方で過去ログが埋もれているせいか、多少カオティックになっている。もちろん有用な情報も流れているのだけれども、取り出しにくくなっている。

そして何より、オンライン授業になってしわ寄せが来ているのが、そもそもから不利な条件におかれた学生たちであることが明らかになりつつある。従来、一つの教室という同じ環境・同じ条件に集められた学生たちであれば埋もれていた差異が、公的リソースの喪失という事態で浮き彫りになっている。授業料の免除や軽減の問題などは大学規模や国家規模で対処すべき問題なので、それぞれの教員に出来ることはそんなに多くないと思うけれども、緊急奨学金の給付などが出来ないかを各所で検討してみよう。この問題への日々の接近の仕方として、教材作成時には、少なくとも家中に十分な速さの有線LANが張られていてPCやプリンターやスキャナが揃っている学生と、PCもなく格安スマホをギリギリで契約している学生とが、同じ授業を受けている可能性を考えよう。しかも図書館やPC室などの公的リソースも使えないなんて、なんとも条件の悪いRPGのようだけれども、オンライン授業での緊急措置で著作権の補償が今年度に限って無料になったので、それを十分に活用しよう。

ということで、パケット代のことを考えたら歯がゆい局面だけれども、今回も文系研究者のための具体的な機材や教材作成方法をここでは示していく。それもまた必要だと思うから。とはいえ、今回も細かいソフトの話はしない。Audacityとか無料の良い音声編集ソフトがあるのだけれども、そういうのは別のところで読めると思う。必要が出てきたら書くけど。

さて前回は、マイクのないPCでパワーポイント動画を作るためのICレコーダー活用方法という、何ともニッチな話を書いた。今回も同様にニッチに、オンライン授業にバリエーションをもたす方法として、ごく短い動画(以下、短動画)を入れる機材の話をしたい。そもそも長い時間の動画など見てもらえないし、重くて見ていられないので、肝心な部分だけ動画にするという手もあると思う。あくまで音声中心の授業の付録みたいに。

なぜ短動画がいるのか。そもそも教員の顔を全く知らないでその人の授業を受けるのはどうなんだろうか?というのが、僕の個人的な感触である。これからは当たり前になるかもしれないけれども、今はまだ違和感があるだろうし、モチベーションもあがらないだろうと思うので、そのような状況に対処するために、顔出しした短動画を見せるというのはアリだと思っている。1分くらいで十分じゃないかな。

さて、短動画作成のための最も身近な機材は、やはりスマホである。インカメラを使って撮るというのが基本だろう。全てオートで撮れるので原則的には何の心配もいらない。が、撮ろうとすると気づくと思うが、手で持って撮るわけには行かない。本の表紙や資料を持って見せたりすることもあるので、せめて三脚とスマホのホルダーは準備したい。三脚は小さいの一つ持っていると何かと便利だ。

で、そういうときに一番確かなのは、マンフロットのスマホホルダー付きの小さな三脚だろう。これはその筋では結構有名なもので、デザインも良いので人気だが、他のメーカーにももっと安い同様のものはある。いわゆるテーブルトップ三脚というジャンルである。ただ、この製品への個人的不満としては、スマホを横にした形でしかホールド出来ないこと。縦置きが使えると作業に幅が出て非常に便利なので、僕はマンフロットの三脚に、雲台だけエツミのモビヘッドを載せて使っている。ホルダーが縦横自由に動くので便利だ。このホルダーは、そもそもはデジタルカメラの上にスマホを装着するためのものだが、このように流用できる。

結果的に、左の写真のような感じで撮ることになるんじゃないかな。

ただ、最近のスマホを使っている人はそうでもないと思うけど、僕のスマホは少し古くて性能もそれほど良くない。とくに音質が気になる。音質改善のためにはやはりマイク、とくにラベリアマイク(ピンマイク)が必要なのだが、4芯のマイクは種類が少なく、しかも品薄。なので、アダプタをつけて手持ちのマイクにつなぐという手もある。

マイク端子(4芯)で音を録る時には、撮影するカメラアプリを携帯デフォルトのものから、Open Cameraに換えるのを忘れないようにしよう。デフォルトのカメラアプリでは外部マイクが設定できないことが多かった(今はそうでもないのかな)。Open Cameraは代替アプリとして優秀。上の写真では、実は昔iPodで使っていた4芯のミニマイクをつけて試してみた。が、音質は全然ダメだった

スマホで短動画を撮る方法は便利で楽なのでおすすめなのだが、個人的には、今の古いスマホを買い換えてからにしようと思っている。

オンライン授業のこと(2)録音機材のこと②

前回はフィールドレコーダーのオーディオ・インターフェースへの転用について書いたので、今回はその続きという感じで、他の録音機材について書いておく。といっても、音響に関する専門的なことなどは分からないので、調査機材をオンライン教材作成に転用するという観点から書いてみる。

というか、前回書き忘れたけど、オンライン教材で肝心なのは、現時点ではおそらく映像よりも音声だと思う。容量的にも目指すべきは、YouTube方向ではなくオールナイトニッポン方向なんじゃないかな。知らんけど。

社会調査の授業でインタビューを学生たちに課していて、自分でも研究の過程でインタビューを行うので、レコーダーというのは僕の教育研究にとって最も重要な機材。そもそも民生用レコーダーの普及は社会学を変えた一因であるのだけれども、それはともかくとして、大学院の頃は、調査の性質からして目立たない方が良いので、マイクロカセットレコーダーを使っていたものの、途中からMDに替えて、MDとICレコーダーの併用時期を経て、今はICレコーダーのみ。これは調査を行ってきた人の一般的な経路だと思う。ICレコーダーになったことで、結果的にオンライン教材が作りやすくなったのは助かる。

で、レコーダーをどう使うのか。前回のようにマイクを備えたPCを使って、パワーポイントのファイル上で音声を一発録りして保存するのではなく、ICレコーダーに吹き込んだものをPCにコピーして、それをパワーポイントのファイルの上に載せるということになる。なので、ICレコーダーはPCに直接USB接続が出来るものが便利だ。マイク録音に比べて面倒に思うかもしれないけれども、これだとマイクがないデスクトップPCを使っている場合にも、オンライン教材を作成できる。僕も近々MacBookProをMac miniにリプレースする予定なので、このやり方が一つの選択肢にはなる(Zoom F1を使うとは思うけど)。いずれにしても多くの人が調査や講義の録音などのためにICレコーダーは持っているだろうから、わざわざ新しい機材を買わなくていいというのが利点。

でも実はもっとお金がかからないのがあって、スマホを使う方法。iOSでもAndroidでも、ボイスレコーダー用のアプリがあるので、それで録音をする。それらにはたいてい編集機能もあるので、もし必要があればトリミングなどの編集をすればいい。その後、それらを無料のクラウドに上げるか、自分宛にメールに添付して送り、PCでダウンロードしてからパワーポイントの各スライドに挿入すれば良いわけだ。これだと追加投資はいらないので、院生の懐にも優しいと思う。

パワーポイントでは、前回の作業の②と同様、「挿入」→「オーディオ」で今回は「オーディオをファイルから挿入」して、そのファイルを選べば各スライドに音声が載るので、これを自動再生にしておいてMP4ムービーに書き出せばいい。

録音ファイルはAndroidだとmp3かwave、iOS だとおそらくMP4オーディオになるだろうけど(iPhoneではないのでよくは知らない)、とくに問題はない様子。ただ、waveは音質は良いけど大きいので、受講生の利便性を考えたらmp3にするのが適切だと思う。僕もパケット代のことを考えて、オンライン授業用のページに、パワポ動画とともに、同内容の「スライドのPDF+音声のmp3ファイル」を教材として置いている。

以下は余談。ICレコーダーにも、前回紹介したZoom F1のような多機能なものや、宅録で使えるようなミュージシャン方向のものから、PCに接続できない簡易なものまでいろいろある。今まで何台も買い換えてきた経験からすると、思いのほか重要なのはマイクかも、と思っている。数人で話すときと対面でインタビューをするときとはマイクを換える必要があるし、座って話を聞くときと、歩きながら聞くときとでは、やはり換える必要がある。映像を撮りながらであれば、ラベリアマイク(ピンマイク)を使うこともありうる。

おそらく、「大勢で座って」というのと「対面で歩きながら」という両極を想像して、2種類あるといいんじゃないかと思う。前者は、写真でいうと右から二番目のaudio-technicaのAT9745みたいな平面型のもので、今だったらAT9921あたりがいいかも。後者もいろいろあるけど、最近よく使っているSONYのPCM−A10だったら(一枚目の写真の手前)、そのままか、屋外では風よけのウィンドスクリーンをつけるだけでいい。ただ、以前はメインに使っていて、今はバックアップ用に併用しているICD-UX565では(一枚目の写真の奥)、場合によってはAT9911を使う。これにもウィンドスクリーンがあるから。歩きながら話を聞くと(調査中にはよくある)、風の音が入ってうるさいことも多いので、こういう小物は割りと大事かもしれない。

 

 

オンライン授業のこと (1)録音機材のこと①

新型コロナ感染拡大状況に対応するために、2020年度春学期の授業が全てオンライン化されることになった。まさかこんなにあっという間に世界中に感染症が拡がるとはほとんどの人は思っていなくて、誰もがいろいろ準備不足のまま、新学期を迎えることになった。

当然のことながら、オンライン教材作成の訓練を受けていないほとんどの大学教員は、手持ちの材料で対処しなくてはならず、同じようにオンライン授業になれていないであろう(映像を用いる予備校経験者ではない)比較的多くの学生たちも、これに対応していかなくてはならないのだが、であれば、大学が求めているような対面授業の代替物ではなく、対面授業とは別物、もう一つの選択肢として準備するしかないんじゃないかなと思っている。教員も学生もお互いに少しずつ交渉しながら、オンライン授業ってこんな感じ、という複数の様態を各所で作りあげていくというか。facebookではすでにオンライン授業に対処するためのグループが立ち上がり、1万人を越える人たちが登録して情報のやりとりが始まっている。

すでに授業を始めている教員の中には勢い余って、これからはオンライン授業が盛んになって、その技術を持った教員が複数の大学で教えるようになり、大学教員の淘汰が始まる、とか物騒なことを書いたりしている人もいるけれども、なかなかそんな風にはならないだろう。大学はカルチャーセンターではないから。でも経済性を考えてそうするところが出てくるかもしれない。大学できちんと勉強していない人たちなら、なおさらそうしそうだ。

それはともかく、今回久しぶりにブログを再開しようと思ったのは、オンライン授業を構成するのにあたって、いろいろ記録しておく方がいいだろうと思ったから。とくに、僕は社会調査をやっていたり写真を撮っていたりするので、標準的な文系大学教員に比べて機材などを持っているはずで、これがオンライン教材を作るのに少し役に立ちそうである。であれば、とくにこれから大学教員になるような大学院生たちに、少しは助けとなる情報を伝えることが出来るんじゃないかなと思ったのだ。facebookの書き込みだと「友人」にしか読めないので、ブログにした方がよさそうだし。

まあ、長い前書きはそんな感じで、とにかくオンライン教材作成の話。講義形式の授業で、一番簡単で標準的な方法は以下の通りだろう。

①パワーポイントで授業ファイルを作成する

②各ページに説明用の録音ファイルを埋め込む(メニューの「挿入」→「オーディオ」から出来る)

③それらの録音ファイルは自動再生に設定しておく

④全ファイルをムービーに書き出す

最近のノートPCはカメラもマイクも標準装備なので、大抵の場合はこれで出来る。ただし、僕の場合はちょっと問題が。いつも使っている古いMacBookPro(mid 2015)のマイクだと、余計な音を拾ってしまうのだ。家人が台所で歌っている声とか、近所の電車の音とか。で、マイクを外付けしようと思ったのだけれども、MacBookProにはマイク端子はない。が、実はヘッドフォン端子に、マイク付きヘッドフォン(4芯のもの。コールセンターでつかっているようなヘッドフォン)を挿せば、マイクが使えるようになる。これが一番簡単な方法。ヘッドフォンを使いたくない場合には、USBマイクを買う。ということで、聞きやすい音で録音をしてファイルを作ろうという人は、マイクを買いましょう。

ここまでは当たり前なのだけれども、社会調査をやっている人であれば、教材作成のときしか使わないようなUSBマイクを買う以外の選択肢もある。僕の場合は手持ちの調査機材で使えないものがないかを考えてみたら、あった。ZoomのF1というフィールドレコーダー。これは少し値段が張るけど、とっても有用性の高いレコーダーで、ガンマイクで録音できるだけでなく、服などにつけるラベリアマイク(いわゆるピンマイク)も接続できるし、比較的広範囲に録るステレオマイクも接続できる。いずれのマイクも極めて優秀で、何よりマイク感度がそのままダイヤルで調整できるので、非常に便利。しかもデジタルカメラで映像を撮る時に接続できれば(カメラにマイク端子があれば)、開始と終了にテストトーンも出せる便利な代物。テストトーンが出せれば、映像と音声を編集する時に同期がしやすいのだ。

で、ここが重要なのだけど(前振りが長いね)、F1はPCとUSB接続した時に、オーディオ・インターフェースとして使える、つまり、USBマイクの接続装置となるのである。ガンマイクを使って録音すると志向性が高く、余計な音を拾わずに済むので、非常に良かった。

もっとも、調査はしないし、写真や映像撮影よりは音楽演奏が趣味という人は、こういう、ついでにインターフェースになるものよりも、オーディオ・インターフェースそのものを買った方が良いかもしれない。ダイナミック・マイクをつなげば、ヴォーカルを録るような形で音声が録れるから。コンデンサー・マイクは周囲の音を拾うから、僕のような環境には向かない。このタイプの機材についてはまた改めて書こう。

ただ、F1だと、PCの前に座ってパワーポイント動画を作成する以外にも、たとえば、板書をする授業をデジタルカメラで撮影して教材を作るといった場合にも活躍するのがいい。その機材や方法についてもまた今度書くけれども、調査をする人たちにとっては選択肢の一つとしてあってもいいと思う。調査音源を良い音で残すのにも最適だ。

『私はワタシ over the rainbow』

うちの大学では先週〈関学レインボーウィーク〉という、LGBTに代表される多様性を尊重するイベントがあり、その一つの催し物として映画『私はワタシ over the rainbow』の上映会とトークショーが行われた。トークショーには、監督の増田玄樹さん、プロデューサーの東ちづるさん、出演者を代表して長谷川博史さんが来てくださり、制作の経緯や今後の展開などについて話を聞くことができた。私は、このイベントを企画されたものの、残念ながら先日亡くなられた榎本てる子先生との縁で司会をつとめたのだが、タイムキープ以外ほとんど何もしないで済んだような、とても楽しいトークショーだった。

『私はワタシ over the rainbow』はLGBTsセクシャルマイノリティー50人にインタビューを行った記録映画である。自己と他者と多様性をめぐる様々な言葉の粒の記録とでもいえようか。そしてただ話を聞いているだけなのに、何故か90分間ずっと見入ってしまう、そういう映画である。その秘密の一つは、出演者の言葉が強く印象的だからあまり目立たないけれども、実は映像がとても美しいからだ。とても写真的なのである。

社会問題を人に伝えるのに映像の美しさは実はとても重要である。かつてシカゴ大学で社会学を学んだルイス・ハインは、児童労働の写真を通してその問題を指摘したのだが、何よりその写真は美しく、それがゆえにこそ人々はその問題に気づいたのだった。ルイス・ハインの教え子であり、おそらくハインよりもはるかに有名なモダニズムの写真家ポール・ストランドも、社会格差や労働環境の問題を訴える美しい写真を数多く残している。美しい写真は残る。そして人はそれに気づくのである。

増田さんと東さんは、『私はワタシ over the rainbow』をLGBT教材として学校に届けるプロジェクトを行っている(私も僅かながら協力させていただいた)。教育用にエディションをかえて子供たちに届けるという。美しく写真的なあの映像が子供たちの中に届くことを願っている。

Leica CL w/VoightLander Nokton classic 40mm 1.4 S.C., AGFA VistaPlus200

ディストピアと連帯と

KyotoGraphieはのべ3日にわたって通ったものの、残念ながら、第一展示場である京都新聞ビル印刷工場跡に行くことが出来なかった(それ以外は全て回ったのに)。中心部を上手に回れなかった(枠外でラルティーグやアーウィットを回ってしまった)り、丹波口の展示を優先してしまったからである。しかしそれで良かった理由の一つは、丹波口でギデオン・メンデルの映像を見られたこと。写真も良かったが、いくつものモニターで洪水のシーンが同時に映し出され、それぞれ別々の場所、別の時間なのに、同じような問題に対して同じような作業を行う人々や家族を同時に見ることで、不幸の場所や時間や人の違いは捨象され、われわれ感覚のようなものが浮かび上がってきた。彼のこれまでの作品(ナショナル・ジオグラフィックに掲載されたものなど)からディストピアや環境問題がその主題として論じられるし、実際そうだと思うのだけれども、同時にそれらを引き受けるわれわれ同士の結びつきを撮っているとも思わされた。それがおそらく写真や映像の力なのだろう。あの映像はとても美しかった。もう一度見たい。

Leica CL w/Carl Zeiss Planar 50mm 2.0, AGFA VistaPlus200

ブラックパンサー

たまたまロンドンの黒人写真家や英国ブラックパンサー運動の話を小さな原稿に書いた後に、京都国際写真祭でステファン・シェイムズの写真を見た。シェイムズは米国ブラックパンサー党の写真を撮っていた写真家である。昨年テイトモダンでSoul of a Nationという黒人の権利運動とアートの展示を見たこともあり、彼の写真は知っていたのだけれども、実は今回初めて彼が白人であったことを知った。ボビー・シールの昔からの友人だったことで写真を撮ることになったらしい。来日していたというから、会ってみたかった。

Leica CL w/VoigtLander COLOR SKOPAR 35mm 2.5, AGFA VistaPlus 200

春展

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学生会館で写真部の春展が行われているので顔を出してきた。一応顧問だけど、作品を見ても名前を見ても、ほとんど顔が浮かんでこない。あだ名だと少し分かる。もう少し顔を出さないと、と思う。その向かいでは写真サークルの展示が行われているのでこちらにも顔を出してきた。実はこちらの顧問でもある。どちらも、もっと自由に撮ればいいのにと少し思う。もっと大きく焼くか、小さいのを沢山か、でもいいかもしれない。そうすればきっともっと楽しい。

Leica CL w/VoigtLander COLOR SKOPAR 35mm 2.5, AGFA VistaPlus 200

でもたぶん写ってる


昨年に親戚からもらったOLYMPUS PEN EESは1962年に発売された自動化されたハーフサイズのカメラ。このカメラにはもらったときからフジフィルムのHR12枚撮りが残されていた。HRだから主に1980年代、30年前に使われたフィルムだと思う。でこのフィルム、何枚撮られていたのか分からないが、捨てるのはさすがに申し訳ないので、念のため他のフィルムと一緒に現像に出したところ、「何も写っていませんでしたのでスキャンしませんでした」という連絡とともにネガとして戻ってきた。何か写っていたら親戚に渡そうと思っていたが、それもなくなった。ところが昨晩、とくに見ることもなく捨てようと思ったときに、ふと何げなく電灯にかざしてみると、何となくコマ割りが見える、ような気がした。

ライトボックス(まだ持っている)を引っ張り出してきてネガを置いてみたところ、何枚かのコマにうっすらと何か、あるいは誰かが写っている、ような気がする。そこで今度はフィルムスキャナーに入れてみたのだが、あいにく読み込まない。機械の目には何も写っていないようだ。ただしじっと見ると、やはり何かが写っている。何かが写っているのだけれども、それが何かは分からない。でもたぶん写ってる。

さて、どうしよう。

オリンパス Pen D 1型を使う

オークションでOlympus Pen Dを落札した。1962年から1964年まで製造された1型。レンズはOlympus F.Zuiko 1:1.9 f=3.2cm 、要するに32mmF1.9。24枚撮りのカラーフィルムを30本ほど安く買い込んだので、ハーフサイズであれば沢山撮れるだろうという目論みなのだが、結果は上の通り、悪くない。この個体のコンディションが良かったのだろう。ただし目測。でも目測も慣れれば何とかなるものだ。

Olympus Pen D, AGFA VistaPlus 200